専科-1ステップ(2)

専科-1ステップ(2):
ギターのソノリティ(音楽のリアリズム)を創る

D(ニ長調)の響きを創る

このステップでは「ソノリティ」について述べましたが、これ以降は常にこのソノリティのことを考えてギターに取り組みましょう。
単に楽譜に書かれている音を出すだけでなく、その音楽にふさわしい「音の響き」を出すように努力しましょう。

次の「プレリュードNo.7」という曲は「ニ長調」の曲です。耳を済ませて自分の出している音をよく聴いて、美しい響きになるように弾きましょう。
音響物理学的には、「倍音構造」がうまく調和した響きでギターを弾けばそうなる筈です。

しかし、実際にその響きを創るためにはいわゆる「弾き込み」=何度も弾いてみて、指先の感覚と耳のチェックがうまくフィードバックしていかないとなりません。
p から f (しかも+系の音から−系の音)までを効果的に使ってよく弾き込みましょう。
その表情づけの1つの原則は、

 メ ロ デ ィ (主旋律) fmf の音量・スライド+ロール奏法
 ハーモニー (伴奏) pmp の音量・フック奏法
 ベ ー ス(低音進行) pff の音量・スライド+フック奏法

となります。その中で、レガートアタック&マルカートアタックを使い分けて、音色構成をします。

これからのステップで、いろいろなタイプの曲を弾くことにより、やがて、自分自身の表情づけ(曲想)ができるようになることを目指しましょう。

また、グリッサンドはあまりオーバーにならないように程よくかけます。
ロマンティックな音楽には不可欠なテクニックですからよく練習しましょう。

アゥフタクト(弱起(じゃっき))の曲について

この曲は音楽が第1拍から始まっていません。
このように途中から始まっている曲のことをアゥフタクトの曲と言います。日本語では「弱起」の曲」と言っています。
3拍子の場合、普通は「強・弱・弱」というように音楽が進行すると言われています。

しかし、これはある一面だけを表していることで、実際には1拍目が必ず強くて、2拍・3拍目が弱い音であるわけではありません。
このことについては2ステップで解説されますが、ここではアゥフタクトの曲の場合は3拍目でも、1拍のような強拍部になるということを覚えておきましょう。

つまり、普通の曲は「① ・ 2 ・ 3」「② ・ 2 ・ 3」と言うように拍子のアクセント(メトリックアクセント)がついているのですが、こうした曲の場合は「・ 3」「① ・ 2 ・ 3」とならずに「・ ①」「① ・ 2 ・ 3」というような拍子感があるということです。
3拍目の音を出す前に、言葉に例えるならば「っ!」という「ため」があるということです。程よい「ため」を感じて3拍目の音を出しましょう。

 「プレリュードNo.7」 F.ショパン作曲

 

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