専科-基本発音方法

ギターの基本発音方法:
レガートアタックとマルカートアタック

レガートアタックとマルカートアタック

本科でも同じようなテーマで練習しましたが、ここではより精密な「音色の表現」をマスターしましょう。

ギターの音には大きく3種類の音色(トーンカラー)があります。
「+(プラス)の音」「−(マイナス)の音」「0(ゼロ)の音(どちらでもない普通の音)」です。

そして、本科では主に「0の音」を中心に弾いていたわけですが、ここでこの3種類の発音方法をしっかりとマスターすることにより豊かな表現を行う基本を身に付けましょう。
「0の音」はこれまでの発音方法(マルカーとアタック)で良いのですが「+の音」はレガートアタックで作るようにします。
レガートアタックとは、言葉に例えるならば「子音」をなるべく少なくして発音するような発音法です。
「あー」と言うほうが、「かー」「たー」「ぱー」というよりも発声の最初のショックがありません。

このことをギターに置き換えると、発音直後の弦の振動がよりスムースに始まると「まろやかな音」になるということになります。
逆に発音する瞬間の弦振動に不純振動が多いと、衝撃音(表面板を震動させるのに不必要な過負荷エネルギーが掛かり、そのパワーがブリッジから弦に逆流し不安定な弦振動を起こす)が発生し、
「安定した波形」の音波に変化するまでに時間がかかり、しかも音量も小さくなってしまいます。

音の立ち上がりの瞬間の弦振動がここでの問題となっています。
マルカートアタックで発音した場合は、いかに素早くリリースしても、爪の先が弦に引っ掛かっているのですから、弦が外れた直後に爪の背中に再接触(ダブルデタッチ)してしまいます。
それが『アタックの衝撃音』という印象につながります。
その衝撃音を可能な限り少なくして、しかも縦振動の割合をできるだけ多くしようというのがレガートアタックです。
そうすることにより、より安定して「+の音」を作ることができるようになります。

2種類のデタッチ(Detauch)方法

ここで、ギターの発音方法についてもう少し深く考えてみましょう。
基本科 ・ 本科と進むにつれて「発音方法」はより高度になりましたが、専科でも1ランク、グレードアップ致します。
ギターの発音過程をよく観察すると次のようになります(スライド奏法 ・ ロール奏法の場合)。



(1)指先が指頭から弦に触れ・・・・・・・・・・・・タッチ[Touch]
(2)爪先に弦が移り一瞬停止・・・・・・・・・・・・ホールド[Hold]
(3)そのまま現に圧力を加え ・・・・・・・・・・・・プッシュ[Push]
(4)1点に力を集中させつつ ・・・・・・・・・・・・パワーポイント[Power point]
(5)弦に爪の表面を滑らせて ・・・・・・・・・・・・スライド[Slide]
(6)指の脱力をして離弦する ・・・・・・・・・・・・リリース[Release]

 


この時、指先の状態をよく観察すると「接弦エリア」での指と弦との接触面がどう変化してゆくかという問題があることが分かります。
離弦の直前に、弦と爪の接触面の状態がどうなっているのかということです(A 図)。
爪と弦が平行方向で、そのまま離弦しようとしているのがB-1図の場合です(マルカートアタック)。
それに対し、離弦の直前までのアクションは変わりませんが、離弦の瞬間にやや斜めに爪を傾けて、爪の先が弦の上を滑り、初期振動を円滑に起こすようにするのがB-2図の場合(レガートアタック)です。
具体的には、リストアクションを使って弾くわけですが、その際、弦に対する指先の軌道はC 図のようになります。

 

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