専科ー5ステップ(3)

専科-5ステップ(3):
トーンプログラミング・ハーモニーバランスの練習

ハーモニーバランスについて

この曲はほとんど和音の連結(ハーモニー)で作られています。
メロディの動きにはそれほど変化はありませんが、和音の流れが美しく感じられます。
メロディが「ご飯」だとするとハーモニーは「おかず」になります。
おかずが変わればご飯の味も変わって感じられるものです。
メロディだけでなくハーモニーの変化にも注意を向けましょう。

ギターをきちんと響かせると、どういうトーンニュアンスが求められているのかということが感じられることと思います。
「音色」に関して言えば、このステップまでレッスンが進んだ皆さんでしたら、問題なく『この曲の求めている音色』を感じることができるでしょう。
しかし、実際に曲を弾いてみると、それだけではこの曲は弾けません。
弾けないというのは、この曲らしくならないということです。

3ステップの「タンゴ」でも練習しましたが、「タンゴ」をタンゴらしくさせるには、フレーズの中で『重軽感』の変化を付けると良いということでした。
そのための技術として(テーマの部分では特に分かりやすかったのですが) 指と 指をずらして弾くことを行いました。
その「ずらすタイミング」を変化させて、フレーズのフォルム(プロポーション)を作ったわけです。
その延長上に「ハーモニーバランス」があると思ってください。

クィックアルペジオで和音を弾く時、指から 指(ベース音からメロディ音)までの間に短いけれど「間」があります。
このタイミングをどうするかで、その演奏の印象派ずいぶん変わってきます。

一つのパターンとして、ヘヴィの時はタイミングを 指に合わせ、ライトの時は 指に合わせるという方法があります。

単音の場合は音の出るタイミングは一つしかありませんが、和音はそこが厳密ではありません。
曲の雰囲気を感じて、いろいろなタイミングで何度も音を出してみて、自分の納得するハーモニーバランスを探しましょう。

音の指向性を豊かにするアームオン&オフの技術

フレーズの最後の音の響きが自然に衰退して消えてゆくような演奏効果を『フェイドアウト』と言いますが、そのときに使う技術が「アームオン」です。

ギターは弦の振動エネルギーを表面板の震動に転化させて発音する楽器です。
だから、表面板の震動を押えると、当然、音も少し抑えられることになります。

そのための具体的なアクションは右肘を使って行われます。
実際は、肘そのものではなく、肘の少し先の腕の部分を用いるわけですが、その部分で表面板の震動を少し吸収したり、また、完全に開放したりして音に変化を与えるのがアームオン・オフのテクニックです。

音の指向性には大きく分けて3種類の性質があります。
それとアームオン・オフのテクニックの関係をまとめると次のようになります。

勿論、実際の演奏に際してはこの「アームオン&アームオフ」の技術だけでトーンプロポーションを作るわけではありません。
その前に「音色の設定(トーンカラー=+・0 ・−の音)」やアーティキュレーション・ヴィブラート等の技術で既に「音の指向性」は作られています。

その上で、ゆっくりしたテンポの曲やハーモニー等の表情付けのためにこの「アームオン・オフ」技術を使うのです。
このメヌエットは2小節単位でフレーズが作られています。
非常に規則的で分かりやすい構成になっています。

フレーズごとの表現をよく考えて弾きましょう。
特に、フレーズの最後の音の響きが問題です。
「広がっていく感じ」で次のフレーズにつながるのか、「閉じていく感じ」なのかということです。
フレーズの最後の響きが『音楽の要求するニュアンス』と一致した場合、非常にスムースに音楽が流れていきます。

この曲の場合は「プラガール」による響きが多く出てきます。
その場合でも弦の振動方向による音色の変化を付けて、そのフレーズにふさわしい響きを作るようにし、また、ダイナミックスの変化は弦に与える圧力の変化で付けます。
それに加えて「アームオン&オフ」を使うと、より一層豊かな響きが得られます。

重要なことは、自分の感じる「音楽的イメージ」と「現実の音」が一致するようになることです。
自分の出している音を良く聴いて、そして、イメージと現実のフィードバックを行って(何度も弾き直して)美しい響きを作りましょう。

 

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