専科-4ステップ(2)

4ステップ(2):
オクターブハーモニックスの練習・左指(運指)の合理性

運指(左指)の合理性について

専科では左指の運指についても考察を深めましょう。
左手の「ポジション移動」を行う際には、ただ左手を移動させるだけでなく、ある指を弦から離さずにしておくと、その指が「レーダー」のような役割を果たして、移動をスムーズに行うことができます。
この技術を「ガイド・フィンガー」と言います。

このテクニックを使うとポジション移動が楽になるだけでなく、音楽的なフレーズを作るのにも役立ちます。

このテキストの運指はそうしたガイド・フィンガーが使えるようになっています。
これから練習する曲は、すべてそうした合理性によって運指が付けられています。
専科以上のグレードの曲は「ギターの魅力」があふれるような曲です。
つまり、ギター独特の音形があるということです。
当然、ギターの長所(=多彩な音色の変化)を生かすために、いろいろなポジションの音が使われています。
それは大きな魅力ですが、技術的には左指の動きが複雑になってゆくことになります。
左手の技術の難易度が高くなるということです。だから、その難易度を少しでも減らすために、より合理的な運指を考える必要があります。
指の負担を減らし、意識を音楽的なことの方へ向けるためにこのテキストの運指は付けられています。
ただ、この「ガイド・フィンガー」は楽譜には記載されていませんから、各自で工夫してみてください。
一つの注意は、ガイド・フィンガーは①②③弦にのみ用いられる技術だということです。
低音の巻弦の場合は、雑音が出てしまうのでグリッサンドの技術以外には必ず弦から指を離して移動します。

グリッサンド(ポルタメント)について

歌には「小節(こぶし)」というものがあります。
歌手の個性は、小節をどう付けるかで決まるとも言われています。
そうした技術がギターにもあります。それがグリッサンドです。
グリスとは「油」の意味ですから、そこからグリッサンド(滑(すべ)らせる)という言葉が生れたのでしょうか。
この技術は別名「ポルタメント」「アラストレ」とも呼ばれていますが、このテキストではグリッサンドという名称で統一します。
グリッサンドを使うことによって、メロディの歌い方が一層豊かになります。
曲の雰囲気にあった表現ができるように練習しましょう。
演奏法には次の3種類があります。

  ―― =指を滑らせて次の音を出す(次の音は右指で弾かない)
  ―― =の音まで左指を滑らせてからもう一度右指で弾く
  ―― =もう一度右指で弾いて左指を滑らせる
(次の音は右指で弾かない)