27.右手のテクニック(4)

27.右手のテクニック(4)

p 指の正しいフォーム・タッチ・アクション』

 ギターの発音を行うのは p i m a という右手の4本の指です。
 これらの指が自由に動き、かつ、ギターに対し充分なパワーがかけられるようにするために、基本的なフォームを作ったわけです。といっても、p 指と i m a 指では基本的にフォーム・タッチ・アクションが異なります。
 そこでまず p 指のフォーム・タッチについて述べることにしましょう。

 写真1を見てください。きちんとしたフォームでギターを弾こうとした際の、自分の視線で見た p 指です。

【写真1】
自分の視線
【写真2】
正面からのアングル
【写真3】
横からのアングル

 p 指は弦に対して45度くらいの角度で構えられます。
 それを正面から見た場合が写真2です。鏡に映した時の右手のフォームだと思ってください。
p 指は弦に対してかぶさっています。つまり、押し込むような形になっているということです(ただし、この写真はちょっと p 指が横に出すぎています。見やすくするためです。本来はこんなに横に出ません)。

 それに対し、i m a 指は屈曲しているのでPIP関節から先が見えません。
 写真3を見てみましょう。
 p 指がかぶさっているのに対し、i m a 指は弦をかきあげるようなフォームになっています。だから、p 指と i m a 指とでは、タッチ・アクションが違ってくるのです。

 ギターの弦は表面板方向にプッシュされた時、その弦振動のエネルギーはブリッジを通って表面板に伝わり、表面板を震動させることができます。早い話が、大きな良い音がするのです。
 そのためには、指の状態は p 指のように押し込むようなフォームであると、大変合理的です。

 また、デタッチ(離弦)する時にも、そのまま弦の上をスライドしていけば、ダブルデタッチにならず、ピュアトーンが出しやすいといえましょう。だから、まず p 指で発音の基本をマスターするのです。

 こうした発音方法は、『お琴』の発音方法にも共通するものです(「お琴」は正式には『箏』と書くべきかもしれませんが、ここではお琴にします)。
 お琴の爪をモデルにして、ギターのタッチ・アクションを考えてみましょう。
 お琴には「山田流」「生田流」という2大流派がありますが、その大きな相違点は指にはめる『爪』の形にあります。

 ジャスティ奏法でギターを弾く場合は、デタッチをクリアにするために爪先は鋭角にしますから、生田流の爪とほとんど同じように考えてよいでしょう。

 さて、お琴はこの『爪』をはめて演奏しますが、その際、弦を震動させるためのアクション(弾く方向)と爪の起こし具合の関係を『仰角』と呼びます。
 そして、この仰角のつけ方によってお琴の音色が作られるのです。

 基本的にはこの仰角は30度から40度くらいが良いようです。しかも、弾く方向も「水平方向」と「やや上向き」という変化をつけたりします。
 仰角が90度に近いと弦を引っ張りすぎてしまい、ひどい音になってしまいます。また、調律も非常に不安定になるそうです。
 逆に0度に近いと音になりません。

 つまり、『縦振動と横振動の相違、そしてプッシュの度合い』というジャスティ奏法とほとんど同じ考え方をしているようです。
 この考え方を p 指にあてはめてみると、理解しやすいのではないでしょうか。
 p 指の正しいタッチ・アクションのあり方は、弦に程よい振動を与え、しかも素早く離弦し、爪の背側で(振動を始めた)弦に接触しないようにするということなのです。