専科-はじめに

専科-はじめに

専科《基礎表現技術編》のレッスン目標

いよいよ「専科」《基礎技術編》のレッスンに入りますが、その前にこの科のテーマは何かということを考えてみましょう。

基本科のテーマは
1)アタックの基本=弦を爪先でホールドし、パワーポイントを設定してリリースする。
2)パワーの使い方の基本=アームワークを使う(離弦の瞬間は指の関節を固定する)。
3)ギターの基本的音程のフレット上のポジションを知る。

ということが最大のポイントでした。

そして本科では
1)弦の振動エネルギーの方向を「縦 ・ 横」に分け、「音」に性格を持たせる=H(ヘヴィトーン) ・ L(ライトトーン)。
2)そのためのテクニック(基本奏法)をマスターする=スライド奏法 ・ フック奏法 ・ ロール奏法。
3)上記のテクニックを使ってベース ・ メロディ ・ ハーモニー(伴奏)の弾き分けをする。
4)上記のことをマスターしながら、全体のフォーム、左右の指のフォーム&アクションを整えてゆく。
5)音楽表現法( pf の弾き分け等)の基本をマスターする。

ということを行ったわけです。

そして、この基礎表現技術編では、基本科 ・ 本科でマスターしたことを総合して、テクニックを完成させ「感動あふれる内容表現」のある演奏ができるようになることがテーマとなります。
そのために、本科までにマスターした「発音法」を更に磨き、1音1音の持つ絶妙なニュアンスを表現できるようになることが最大のテーマになります。
専科の曲では(本来はいかなる音楽であれ)ただの1音も意味のない音はありません。
「音の積み重ね」という現象は、抽象的でしっかりと認識することは難しいものでありますが、専科のカリキュラムを消化してゆけば、おそらく「音の持つ意味=芸術的表象」というものが分かり始める筈です。
そのときこそ、あなたの心に新しい世界が誕生します。
それは美しく、そして計り知れない価値のある世界です。人生の目的がそこにあるといっても過言ではない世界です。
そうした世界を自分の心の中に築き上げることが専科の最大のテーマであります。

1つの音が誕生し(しかもその音には性格があり)、成長し、衰退してゆきます。そうした音が積み重なり合って一つの世界を創り上げています。
1つ1つの音が全体像を創り、また、全体の調和の中に1音が意味を成して存在して1曲があるのです。
まさに小宇宙の世界を創ることが演奏という行為なのです。ぜひ、自分自身の美しい世界を築いてください。