本科を終えて

本科を終えて
演奏表現に対する考え方とこれからの予定

ここまで進まれた皆さんは、ギターを弾くことの喜びを肌で感じることができるようになったことでしょう。
それは、自分自身の努力で手に入れた「喜びの世界」です。大いに誇って良いことです。
もう、市販されている楽譜の大部分の曲を自由に弾くことのできる技術の基本は身に付きました。
これからは、人類の遺産とも言える数々の名曲と出会い、そうした作品を演奏することによって自分自身を発見していきましょう。

しかし、自分勝手な好みで演奏表現をしてはなりません。作曲者の意図をよく考え、理解しようと努力しましょう。
その曲の魅力そのものを表現するにはどうしたら良いのか、ということを常に考えるようにしましょう。
そうしているうちに自分の「世界」がだんだん広がってゆきます。
「自分」という我を出すと世界はそこまでで閉じてしまいます。
といっても、それは自分を表現しないというわけではありません。
いずれにしても、作曲者 ・ 曲の内容といったものを表現しようと努力しているうちに、自然に「自分の個性」といったものは出てくるものですから・・・・・・。

さて、これからは、いよいよ「音楽の表現」というテーマ、即ち「専科」に進みます。
音楽の歴史は、ルネッサンス時代から、バロック ・ クラシック ・ ロマン ・ 民族 ・ 近 ・ 現代へと続いています。
これからは、その中心となるクラシック時代のF.タルレガの書法を基本として、いろいろな音楽の「演奏表現技術」を学んでゆきましょう。
音楽の世界は広く、そのすべてを体験することは個人の一生では不可能と言えましょう。
だからこそ、優れた先人の残した音楽(それも更に淘汰されてより優れたものが残っている)、それを広い意味でクラシックと呼んでいますが、そういった音楽に目を向けたいものです。
そうした音楽の楽しみを知ったうえで、好きならば気軽に楽しめるポピュラー音楽やフォーク、ロック等の流行音楽に進むのも良いでしょう。
これからは、基礎技術の習得よりも、音楽内容の表現ということにテーマがおかれ、より深い内容表現を可能にするための内容表現技術(これが本当のテクニックであり、これまでに学んだ技巧はメカニックという事です)をマスターしてゆきます。
この先には新しい世界が待っています。さぁ、扉を開きましょう!