専科-3ステップ(1)

専科-3ステップ (1):
ギターの特殊奏法・タンゴのリズムの作り方

ギターの多彩な音色を生み出すために普通の弾弦法とは違う特殊奏法があります。
このステップではそれらの特殊奏法をマスターしましょう。

ピッチカート奏法(Pizz.)


近代〜現代の音楽を演奏する場合によく使用される奏法で、ファゴットのような(高次倍音が少なく柔らかで暖かみのある)音色を作る奏法です。
右手の小指側をブリッジの上に軽く乗せ、ほどよく弦の振動を押えながら弾弦します。
弾く指は主に 指を使いますが、普通のタッチとは違って指の腹の部分を使って(爪を使わずに)弾弦します。

ラスゲァード奏法(Rasg.)


いわゆる「かき鳴らし奏法」という弾き方で右指を全部握っておいて、小指から a m i 指という順に勢いよく開くようにして、爪の背面を使って⑥弦から①弦にかけて弦を弾(はじ)きます。
各指をタイミングよく動かして弾くことがポイントです。
また、i 指だけを使って弾くラスゲァードもあります。
その場合は、 i 指を伸ばしてダウンストローク(⑥弦から①弦に向かって弾き降ろす)とアップストローク(①弦から⑥弦に向かって掻(か)きあげる)を交互に行います。

タンボーラ奏法(Tam.)


太鼓のような効果を出す奏法です。右手の親指側で弦を叩いて発音します。
叩く位置はブリッジから1〜2cmくらいのところで、手首の力を抜いて手全体を少し回転させるつもりで叩きます。
また、メロディを浮き立たせたい場合は、p指の爪の背面が弦に当たるようにします。

タンゴらしく演奏するには

言葉で述べても始まらないことですが、「タンゴ」には『ゆったりとした付点音符のリズムが流れる独特な雰囲気』という印象があるのではないでしょうか。
曲には「その曲の持つ基本的な表情」というものがあります。
その雰囲気を醸(かも)し出すためにはどうすれば良いでしょうか。
一般的には「その曲にふさわしい音の表情」を使って「音構成」をすることであり、更にその音を使って「その曲にふさわしいフレーズのフォルム」を作ることを意味しているということです。

アーティキュレーション(音の長さ)について
これまでのステップではギターの「音色の種類=トーンカラー」を学んできましたが、音の表情には「音色」の他に「長さ(形)の変化=トーン・プロポーション」というものもあります。
そうした表現をアーティキュレーションの技術と言います。

音の長さについては既に楽譜に示されているわけですが、ここで問題となっているのは「音符に示されている音価(タイム)をどのように表現するか」ということです。
4分音符のタイムがありますが、実際に演奏する時には、その音符のタイム一杯に音を伸ばすとは限りません。
実はそれは一つの「音の出し方」であり、他の出し方もあるということなのです。

音の出し方は大きく分けると次の3種類になります。

スタカート =    = 短く切ります。小さい点の記号が付きます。
マルカート =    = 普通の弾き方で、特に記号はありません。
テ ヌ ー ト =    = タイム一杯伸ばします。- の記号が付きます

このほかにレガートという、アクセントをつけないように弾く場合があります。
この場合は、改めて右指で発音せずに「スラー」の技術で弾くことになります。

消音(しょうおん)(Apagardo アパガード)法について
これまでは、消音と言うと曲の終わりに全弦の振動を右手の親指側の腹で止めることを意味していましたが、アーティキュレーションを行うために、これからはより細かく音を止める技術が必要になります。
音の止め方には基本的に2つの方法があります。

1.右手で止める
= 弾いた指をすぐにその弦の上に戻して触り、音を止める(1〜2本の振動を止める場合)
または、親指の腹で全弦を止める
2.左手で止める
= 特に指定は無いが、押弦していない空いている指で軽く弦に触れて弦の振動を止める

以上の方法を使って、より豊富な音の表情を付けることができます。