本科-3ステップ

本科-3ステップ
3度の響き(i m 指のロール奏法)をマスターする

3度の響きについて

ギターの魅力は、その妙(たえ)なる「音色」にあります。
それは単音でも美しいものですが、3度の重音(じゅうおん)にすると一層美しいものになり、また、ハーモニー感も生まれて充実した響きを味わうことができます。
2ステップの「ロンドンデリーの歌」では、i m 指は伴奏音(ばんそうおん)としての発音方法を練習しましたが、このステップでは「主旋律(しゅせんりつ)」としての響き(弦に対し、縦振動をしっかりと与える発音方法)を出すことを覚えましょう。
ポイントは、p i m 指を3本とも弦の上にのせ、ちょっと押し込んでから素早くリリースすることです。
そうすることによって、弦の振動エネルギーを無駄なく音に転換することになります。
3度というのは、例えば「ド」の音に対し、ド(1)・レ(2)・ミ(3)と数えて3番目(つまり「ミ」になります)の音を指します。「レ」の3度の音は、レ(2)・ミ(3)・ファ(4)と数えますから「ファ」になります。
ギターで3度の響きを出すためにはim指のロール奏法を用います。

♯(シャープ)が付いた場合の弾き方

このステップの課題曲「故郷>(ふるさと)」の楽譜は、楽譜の左、ト音記号のすぐ隣に♯記号が3つ付いています。
このようにト音記号のすぐ隣りに♯や♭の記号が付いている時、この記号を「調号(ちょうごう)」と呼びます。
この場合は、指定された音(この曲では『ファ・ド・ソ』の音)は常に半音高く弾きます。
また、♭の調号が付いている曲は、♭記号の指定のある音はすべて半音低く弾くことになります。
こうした調号を見ると「エ〜ト、♯が1つの場合は『ソ』が『ド』になって、2つだと『レ』が『ド』になるんだったかな・・・・?」などと考えて、楽譜の読み方がよく分からなくなるという人がいます。
そうした読み方は「移動ド唱法(しょうほう)」と言って、歌を唄うときに用いられる楽譜の読み方です。
ギターを弾く場合は「固定ド唱法」で楽譜を読みますから、「ド」に♯が付いたら「ド♯(ド・シャープ)」と読み、半音高く弾きます。
具体的には、♯が付いたら1フレット上の音を弾き、♭ならば1フレット下の音を弾けばよいのです。

 

 「故郷(ふるさと)」 文部省唱歌/向井正義編曲

 

1小節目の「ラ・ミ・ラ」の和音は、p i m 指をきちんと弦にセットして、しっかりパワーをかけて弾きましょう。
一瞬、表面板の方向に押し込むようにして、すぐ手首を返して、素早く弦をリリースします。
そうすることにより、ギターの表面板がしっかり振動し、芯のある響きが生まれます。これがロール奏法という弾き方です。
2拍目、3拍目の単音は、指を連続して使います。
最初の和音と同じように、ロール奏法で弾いてもよいのですが、ゆとりのある人はスライド奏法で弾きましょう。
その場合は、弦を表面板方向に少し押し込んで深い音を出すように心掛けます。きっと美しい響きが生まれることでしょう。