ジャスティメソード

2ステップ (2):メロディを歌わせる(指向性)・立体的表現のための遠近法
 
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拍子(ビート)とは?
 ベースドライブとは『重い音⇒軽い音』の対比を行うことで音楽を進行させるテクニックですが、その表現の基本となるものは『拍子感覚』です。
 音楽には必ず拍子があります。それは一つの規則的な運動法則に従う「音の波」のようなものと言えます。 2拍子の曲の場合「重い・軽い」「やや重い・軽い」という波、3拍子の曲ならば「重い・軽い・軽い」「やや重い・軽い・軽い」という2小節単位の波があります。 これを「強い・弱い・弱い」という風に説明している音楽書も多いのですが、その場合、クレッシェンドなどをどう表現して良いのかという矛盾が生れてしまいます。
 「強弱」の表現は拍子感とは関係なくつけるものであると覚えておきましょう。
 この「別れの曲」の場合ですと、1小節ずつ「H(ヘヴィ)とL(ライト)」を弾き分けることになりますが、シンコペーションで強拍部が移動することに注意してください。
 ギターの場合、低音弦の持つエネルギーは非常に大きいものであり、ベースの音がそのフレーズの雰囲気を支配します。 つまり、ベースドライブは単に低音の進行を感じさせるにとどまらず、そのフレーズ全体の進行感覚をも作ります。 そうして作られた拍子感の中で、メロディを歌わせるわけです。メロレディを歌わせるには「進行感覚」ではなくつなげる感じが必要です。

メロディを繋げる音の指向性
 メロディは主に高音弦で弾きますが、高音弦を弾いた場合の「音の性質の変化」は「重い・軽い」というものではありません。 そして、時間と共に変化してゆくのは音量よりも「音の緊張感の希薄化」です。 川の水が高いところから低いところに流れるように、自然なフロー感がそこにはあります。
 ただし、それは mf 以上の音量で弦を「プッシュ」して弾いた(縦振動が入っている)場合に起こることで、横振動だけで弾いた場合は「音の密度の変化」はほとんど起こらずに「固く薄い感じの音(−系の音)」が鳴るだけです。 ですから、メロディはきちんとプッシュして音を出す、つまり、mf 以上の音量で弾くわけです。 そのうえでメロディにもフロー感覚を持たせます。それがメロディの指向性ということになります。
 指向性の考え方は基本的に低音のベースドライブと同じようなものだと言えましょう。 つまり、メロディは「ハイテンション⇒ローテンション」という表情を付けることによって音に繋がり(グルーピング)を持たせます。
 最初の「ラ」の音はアゥフタクトの音ですから、しっかりとプッシュして弾きます。 勿論、一小節目の一拍目のレもハイテンションで弾きます。 そして続くド・レ・ミはローテンションのニュアンスをつけます。そうすることによって、4つの音がグループ化され、一つのメロディラインとして聴こえるようになります。
 また、2拍子を身体でとる場合「① ・ 2」「② ・ 2」というように「前 ・ 後」に揺れながら、ベースを「インターン=ヘヴィトーン」「アウトターン=ライトトーン」というように弾き分け、全体的にはインターンの方を少し強めに弾くというのが基本です。
 また、後半部分のメロディの流れは、大きく捉えてみると、4つの音で1グループになっています。 そのグループを繋げて流れるように弾くためには、4番目の音に次の強拍を呼び込むようなニュアンスをつける必要があります。
 それも『音の指向性』の一部ですが、「やや軽く、密度の濃い、よく伸びた音」が要求されます。 具体的には「やや−系の(横振動の割合が多い)音」で弾きます。
 つまり、2 ・ 3番目の音と4番目の音は、同じ弱音部でも長さが変わり、2・3番目はやや短めにして、4番目の音は少し長くするように弾きます。


 「別れの曲」 F.ショパン作曲







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